日本基督教団御殿場教会  United Church of Christ in Japan Gotenba church

主の熱意

説教

タイトル :「主の熱意
聖書   : イザヤ9:1-6
年月日  : 2017-12-3
特記事項 : アドヴェント
イザヤは1章の始めで紹介しているように、ユダの王であったウジヤ、ヨタム、
アハズ、ヒゼキヤ王たちの時代(約90年間)の預言者ですが、イザヤ書全体を見ると、
後の時代のことまで記されています。そのためイザヤの弟子集団が、イザヤの名でイザヤ書を書き残したのではないかと言うのが、通説になっています。
 本日の箇所では、まず「暗闇の中を歩く民、死の陰の地に住む者」と言う言葉が
出てきます。イザヤと言う人物が生きていた時代、ダビデ王やソロモン王が治めて
いたイスラエル王国は、既に南北2つに分裂しており、当時、巨大な力をふるって
いたアッシリアによって北王国は滅ぼされ、民は奴隷として連れ去られ、苦しい日々
を送っていました。残された南ユダ王国もアッシリアに絶えず揺さぶられ、人々は
生きる気力を失っており、まさに「暗闇の中を歩く民、死の陰の地に住む者」でした。 
でもこれは約3000年前の大昔の出来事だと、見過すことは出来ません。私達の
時代、次々と飛び込む日本や世界中の悲惨なニュースを皆さんも、見たり聞いたり
しているはずです。
 民がやせ衰えても、食糧を買い与えることなく、軍事ロケットを飛ばしている国。
宗教が違う、宗派が違うからと、無差別にテロを行い、多数の命を奪って喜ぶ国。
自分の国の豊かさ正しさだけを最優先に、他人を排除するため塀を造って喜ぶ国々。
そのために、家族を失い、家や仕事を失い、国さえも失って、生きることを求めて
難民となった無数の人が今、私達の世界にいます。食物だけでなく、病院も医者も
いない。雨や寒さをしのぐための家もない。学ぶための学校もない。今日、生きら
れるかどうか分からない無数の人たち、子供たちが今、私達の世界に現実にいます。
それを平気で見過して、何とも思わず、何の行動も起こさない私達こそが、本当の
「暗闇の中を歩く民、死の陰の地に住む者」なのではないか。
イザヤ書は昔のことを告げているのではない。「愛することを忘れ、愛のない
暗黒の中、つまり、愛する命を失った死の陰に住んでいるのは、私であり、
そしてあなたなのだ」と伝えているのです。
イザヤ書は、約3000年前に書かれた預言書です。イザヤ書は、暗闇を照らし出す
大いなる光「メシア・救いの主のおとずれ」と言う、神様からの言葉を記しました。
新約聖書を既に読んでいる私達は、大いなる光であるメシア・救い主が、イエス様
であることを知っています。でも知っていることと、それを真実として受け止め、
信じ、希望を持って生きることとは、全く別のことです。でも私達がどうであれ、
神様の言葉は、いつの世も変わることなく真実であり、確実であり続けます。
 だから大昔、アッシリアの攻撃に苦しむ人々は、イザヤの預言を聞いたことで、
「救いの光を与える」と言う神様の言葉を心から信じて、希望と共にその光を望み
見ていた。神様の救いの喜びと楽しみを噛みしめながら、神様を喜び祝っていた。
その喜びは、豊かな収穫の祝いのようでもあり、また苦しい戦いの末に勝ち取った
戦利品を分け合う楽しみのようでもありました。さらにイザヤは3節で、歴史的な
勝利で人々の喜びを例えています。昔、デギオンがミディアンの大軍を打ち破り、
イスラエルを苦しめていた敵のムチや杖、クビキを砕きました(士師記7章)。あの
「ミディアンの日」の喜びが再び与えられるのです。それだけではありません。
 イスラエルを侵略するために隊列を組み、畑も何もかも踏み荒らして進んでいく
兵士達の靴。多くの人々を殺した返り血が染こんでいる兵士達の軍服。それらは、
イスラエルを嘆き苦しめてきた象徴でもあります。そんな兵士の靴や軍服などが、
すべて火の中に投げ込まれ、焼き尽くされ、灰になる日が来ることを、神様は約束
しておられるのです。そしてこの世の暗闇だけでなく、人の心の中にもある残酷な
暗闇や死の陰も、すべて跡形もなく、神様が片づけてくださる日が来ます。
 しかもそのことを実現するために、神様は「特別なしるし」をこの世に用意して
くださいました。5節です。
 「1人のみどりごが、私達のために生まれた。1人の男の子が、私達に与えられた」。
これは王の即位式に読まれたものと言われています。「神様がご自分の子供として、
この世に王を産んだ」と宣言することで、神様の御心を忠実に行う務めが、王には
与えらます。王が即位するたび、この言葉が読まれたはずなのに、しかし王たちは
神様の御心を無視して来た。そのために北王国は滅亡し、南ユダ王国も今、危機に
さらされているわけです。でもイザヤがここで改めて「王の即位の言葉」を語って
いるのは、これまでとは全く違う「新しい王が即位すること」を告げるため
です。その新しい王とは、神様の御子イエス様です。
 イエス様は、御心通りに世界を治める新しい王として、この世に遣わされます。
でも力強い巨人の姿ではなく、幼子の姿で来られる。またダビデの血筋とは言え、
イエス様を引き取って育てるヨセフは、王でも金持ちでもない、ただの大工です。
そんな無力な幼子に、何を期待することが出来るのか。でもイザヤは言います。
 「権威が彼の肩にある。その名は、驚くべき指導者、力ある神、永遠の父、平和
の君」。
 幼子となって世に来られるイエス様には、神様のあらゆる権威が宿っています。
それゆえ「新しい王」には、神様から特別な名前が、いくつも与えられています。
まず「驚くべき指導者」。直訳は「驚くべき計画者」です。新しい王は神様の御心に
従い、ぶれることなく、人が思いもしなかった計画を立てます。全く不可能に思え
ても、新しい王は民の救いのために、すべての計画をひるまず実行して行きます。
さらに新しい王は「力ある神」と呼ばれます。ニカイア信条で告白したように、
イエス様は「父なる神様と同質・等しいお方」だからです。従って新しい王は、
力ある神様の忠実な代理として困難の中を歩き通します。同じく神様にのみ使われ
る「永遠の父」と言う名前も、御子イエス様にはふさわしい。新しい王は、すべて
の人を慈しみ、正しい道に導く父、しかも「永遠の父」として世界を治めるため、
世に来られるからです。最後は「平和の君」。これも神様にのみ使われる名前ですが、
新しい王は人が望む平和ではなく、神様が望んでおられる真の平和を、本物の平和、
神様の平和を全世界にもたらす「平和の君」だから、イエス様にこそふさわしい名
前です。
 6節では「ダビデの王座とその王国に権威は増し、平和は絶えることがない。王
国は正義と恵みの業によって、今もそしてとこしえに立てられ支えられる」と記し
ています。でもダビデ王国はB.C.587年、バビロニア帝国に滅ぼされて、地上から
姿を消してしまうのに、なぜ6節は「王国はとこしえに立てられ支えられる」言う
のでしょう。
 新しい王は、これまでダビデの王座にいた王たちとは全く違う。だから新しい王
の王国も、これまでの王国とは全く違います。新しい王は、メシア・救い主として、
神様の正義と恵みに満たされ、永遠に終わることのない平和な王国を実現します。
「平和」とは、戦争がないことだけではない。十字架のタテの木のように、神様と
人が和解して、愛し合う関係にあること。さらに十字架のヨコの木のように、
神様との愛が横に広がり、すべての人が互いに愛し合い、神様の永遠の真実
と正義に満たされていることが、「平和・シャローム」なのです。
神様との愛から始まる平和が実現している王国を、ニカイア信条は「その御国は、
終わることがありません」と告白します。この王国は人の力では造れない。新しい
王・メシア・イエス様によってのみ実現する王国です。イザヤは、新しい王が実現
する王国の幻を、神様から見せられましたが、新しい王イエス様が誕生するのは、
イザヤが預言してから約700年後です。
 世界と人を「良し」と言って造られた神様こそが、世界と人が暗闇と死の
陰に飲み込まれてしまったことを、誰よりも嘆き苦しんでおられた。だから
神様は、ご自分の御子イエス様を新しい王として世に送り、「平和と正義と
恵みに満ちた永遠の王国」を実現させるのです。新しい王・イエス様だけが、神
様の平和の光ですべての暗闇を蹴散らします。イエス様を通してのみ神様の平和
が実現します。
このイエス様をメシア・キリストと信じて、イエス様と結ばれたすべての
人が、御子の血筋と永遠の御国を受け継ぐ神の子たちとされます。民族も国
も、関係ない。ご自分が造った世界と人が、平和の王国で永遠に生きることを、
誰よりも熱望している万軍の主・神様の熱意が、この救いの計画を成し遂げ
ます。
そのために御子イエス様が「新しい王」として世に生まれ、神間の救いの計画を
妨げる罪と死の暗闇を十字架の死と共に滅ぼして、終わることのない平和の王国に、
チリに返るしかない私達を、「ただ信仰によって」招き入れてくださいます。
 救いの計画は、「何としてでも私達を、神様の平和の中で永遠に生かしたい」
と願い続ける万軍の主・神様の愛の熱意から生まれた。だから「マリアから」
と言うより、「神様の愛の熱意から」イエス様が生まれた。そしてイエス様は、
神様の愛の熱意、神様の救いの計画を、私達1人1人に成し遂げてくださる
のです。
今はまだ暗い夜明け前です。でも私達の上に平和の王国の朝日を昇らせるために、
神様の愛の熱意をもって新しい王・イエス様が、今日も働いておられます。

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